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2023/07/07 (Fri) 07:24:45

ハンドボール協会・金丸新会長「新リーグ逆行させない」
2023年7月7日 5:00

新リーグ構想が二転三転したハンドボール界は、協会とリーグ双方のトップが交代して立て直しを図る。今月1日に日本協会の新会長に就任した金丸恭文氏（ジークスター東京オーナー）は当初の構想に反対し、後に修正案づくりを主導して全チームによる新リーグ合流に道筋をつけた。2024年9月開幕までに取り組むべき課題、協会とリーグの関係改善などについて聞いた。

――昨年8月に参加申請が締め切られた新リーグ構想では、日本リーグ男子の約半数のチームが手を挙げず、分裂危機が表面化した。特に「プロ」を掲げた新リーグと親和性が高いと思われたジークスター東京の見送りは衝撃が大きかった。

「我々はプロチームとして、既にマーケティングやチケット販売、デジタル活用を自分たちで手掛けていた。リーグ法人がそれらの収入を一括管理し、収益を各チームに分配する『シングルエンティティ』の仕組みにはメリットを見いだせなかった。リーグから何度も説明を聞いたが、収益分配も実現の蓋然性はほぼないと判断した」

――分裂状態が解消されずに新リーグの参入審査が進む中、今年1月には各チームの同意を得て修正案を取りまとめた。

「状況が変わらなければ、ジークは男子が2リーグに分かれても致し方ないと思っていたが、個人的に意見を聞いた他のプロリーグ幹部からは『分裂は絶対に避けた方がいい』とアドバイスされた。一方、女子の北国銀行の中村和哉氏（3日付でリーグ運営法人の日本ハンドボールリーグ代表理事に就任）は、一貫して女子の全チームが一緒に新リーグに行くべきという考えだったので、私が男子、女子は中村さんが中心となって修正案をまとめた」

「結果として、男女の全チームが新リーグに参加することで合意し、シングルエンティティや参入審査は撤回された。年会費の引き上げ幅も見直しとなった」

――参入審査もなく新リーグに全チームで移行となると、今の日本リーグと何が変わるのか。改革が後退した印象も受ける。

「リーグを改革するという方向性を逆行させるつもりはない。新リーグ構想で示された8つの参加要件（ホームアリーナ確保、地域密着、統一契約書に基づくプロ契約など）に違和感はない。参入審査はしないが、数年後の達成目標は明確にすべきだ」

「何よりも大事なのは集客。他のスポーツでは当たり前だが、ハンドボールは前売りやネットでチケットが購入できる体勢も整っていない。まずは全チームが興行を主催できる力をつけること。リーグとして集客目標を決めるべきだろう」

――新リーグ構想ではリーグ法人と日本協会が激しく対立し、両トップが去るという結末に至った。

「中村さんとはビジョンを共有し、連携を密にしていく。協会の最優先事項である日本代表の強化とリーグの活性化は表裏一体であり、ハンド界成長の両輪だ」

――今月末には本場欧州からサッカーでも有名なパリ・サンジェルマン（PSG）を招き、ジークスター、日本代表とそれぞれ東京で対戦する。

「昨夏にサッカーの来日ツアーが大成功したのを見ていたし、PSGもアジア市場に強い関心を持っていた。過去にない話題性のある企画で、ゴタゴタの続いたハンドボール界が一枚岩となり、再スタートを切るきっかけになればと思う」